不動産投資をスタートさせるにあたって、僕は必死に不動産会社と銀行の開拓に力を注いだ。
しかし探せど回れど情報を取りに行けど、来る物件はお世辞にもいいとはいえない、むしろ買った瞬間に買主へ多額のお布施を運び込むためだけにお金を払わなければならない、つまり利益のたっぷり乗っかった物件のみだった。
それは銀行も同様だった。
実績もなければ、なんだかよくわからない業種をやっているただの零細企業がそんな儲かりそうにない物件を持っていきなり飛び込みで来るわけだ。
誰だお前はと。何だその物件はと。
そんな状態でお金を貸してくれる銀行はただの1行も見つからなかった。
唯一日本政策金融公庫が2500万円貸してくれる!という運びになったのに、売主と謎に連絡が取れなくなり流れたこともあった。
そんな状態からわずか数カ月後に、僕は4棟目、5棟目となる念願のアパートメントを手に入れることができた。しかも銀行融資込みでだ。
この記事ではどのようにしてそれを成し得たのか、また購入に至るまでの経緯について書いていく。
次こそは集合住宅(アパート)を購入してみたい!
2018年8月に1棟目の戸建を購入してから立て続けに同年10月に2棟戸建を購入、着々とリフォーム&客付けを作業を行いながらも、既に次なる物件購入のことで頭がいっぱいだった。
このまま手を緩めることなくどんどん買っていかなければ死んでしまう!
もちろんそういった経済的な意味もあったが、端的に言えばもう不動産を買うことに対するあくなき欲求と追求、新しいことへのチャレンジ欲求が止まらないモードに突入していた。
さらに言えば、あれだけ必死に回り続けたのに、ほぼ全てに断られ続けて撃沈、不動産投資に絶望感を十二分に与えてくれた数々の銀行様たち。
担保価値ある物件3棟保有して、客付けまでの実績あれば正直もう貸してくれるんじゃないの?!
などという、融資に対する自らの実行力、今後拡大し続けるためには必須の借り入れを攻略せざるを得ない気持ちと興味関心でいっぱいだったというのが正直なところだ。
日々ポータルサイトに目を光らせるのはもちろん、戸建を再生しつつ常に物件情報もチェックしながら、隙間を縫って不動産屋も回り物件に問合せをし、内見も行っていた。
楽待から1通の物件情報が届いた。気になるその内容は?
不動産漬けの毎日の中、1通のメールが届いた。不動産売買サイト楽待からだ。
不動産投資家で若い世代であれば恐らく登録していない人はいないであろう株式会社ファーストロジック社が運営する大手ポータル。
このサイトに投資家自身の個人情報、それこそ年収や資産額、免許証に至るまでまさに個人情報丸裸状態にして登録することで、投資家に目をギラギラ光らせる不動産会社から個人的に提案メールが届く仕組みが備わっている。
もし登録していない人がいれば、まずは登録しておくことをおすすめする。
ただし、登録してみるとわかるが「これ買えば確実に美味しい物件だ」と言えるものは掲載されていない。
いや少し語弊があるか、仮に掲載されたとしても秒で蒸発してしまうという表現のほうが正しいだろう。
ともかくここに個人情報を登録しておき、自分が希望するエリアや利回りなどを個別で登録しておきさえすれば不動産会社から提案メールがたまに届くのだ。
僕のもとに届いたメール、はいはい、またさほど大した情報ではないでしょうねと思いつつも、開封した瞬間、僕は少し手を止めることになった。
物件情報はざっくり下記のような内容だった。
利回りは正直僕の中の基準では平均以下だったが、なによりも単身向けではなく、さらに駅徒歩5分、という条件が目を引いた。
しかも好みの築古物件。
ここで個人的にもっとも大切にしている視点が「レントロールの内容」だ。
レントロールをご存じない方のために簡単に説明すると、要するに現在の入居者がいくらの家賃でいつから住んでいるのかを一覧にしたも。
僕がアパートを見る時に大切にしている視点は大きく分けると下記3つになる。
- ファミリー物件かどうか
- 相場に対して現状どれくらいの家賃で入居しているのか
- バリューアップその他創意工夫で現状の家賃を上げられるかどうか
まず1に関して言うと、1K、1R物件はその時点でカット。
入退去が激しい物件に対する手間と、それらが及ぼす経費を差し引いた実質利回りに対するインパクトが高いためだ。
常に手間がかかる可能性があるのも嫌な要因。
それが今回の物件はギリギリ条件を満たす2DK。ここから僕の中で土台に上がる。
次に2の相場家賃と現状家賃との比較。さらに3の家賃を上げられるかどうかの組み合わせ。
もしも相場よりも低い家賃で入居付けされていたとすれば、それすなわち現オーナーが思考停止状態で利回りを無視、エリア最安値賃料で真っ先に入居付けを優先していると判断できる。
(実際こういう大家は多い。むしろほとんどだ。)
ここに対して何らかの施策を施すことができれば、退去後に相場よりも高い家賃設定で入居付けできれば自らの手で利回り向上を図ることができる。
この時の思考をまとめたのが下記だ。
このとき僕は直感した。
「この物件は自分の力で化けさせられる可能性が高い」と。
ちなみに積算に付いては実勢価格で土地値より500万円ほど高い状態だが、相続税路線価では半額に届くかどうか。
折しも物件価格が最高潮に高い時期で、理想とする積算高+高利回りを狙うには非常にきつい市況であったとこと、そして積算を気にしている時期ではないという個人的な判断があった。
時間にして15分ほどで僕はすぐにメールをくれた業者に電話を入れていた。
仲介不動産会社とのやり取りで分かった「業者物件」
連絡をくれた楽待の欄に記載のあった不動産会社の担当営業マンに電話を入れると、感じの良い対応でやや有能そうな雰囲気を醸し出し、それでいてしっかりと丁寧に、物事をわきまえている、そんな印象の若者が対応してくれた。
この若手営業マン、仮にT氏としよう。
物腰が柔らかく、それでいて若さゆえのエネルギーを感じる悪くない印象だ。
そんなT氏が伝えてきた内容に、僕の興味関心はさらに向上した。
「この物件、実は売主が業者さんでして、今年度中にどうしても売り抜けたいようです。まずは100万円の指値は弊社だけで頂いておりましてさらに交渉できると存じます。」
今となっては、はいはい、あるあるですね、という感じではあるのだが、いずれにしても悪い情報ではない。
無論、こちらとて売値のまま買うつもりなど毛頭ない。そして指値がしやすい可能性が高い状況であることは間違いなさそうだ。
電話でこれ以上話すよりもすぐにでも現地に行くべきとの判断をし、T氏に現調予約を入れ、というか翌日に物件を見に行く約束を交わして受話器を置いた(スマホの「切」をタップした)。
T氏と駅で待ち合わせをし現地に向かう
松戸市に赴くのは実はこのときが初めて。
僕がアパートを選ぶ一つの基準として当時自らに課していたのが「東京に隣接している地域かどうか」だ。
東京に隣接していたら何でもいいわけでもないし、逆に隣接していなくとも良い物件は腐るほどある。
がしかし、この時の僕はまだアパートビギナー。少しでも生き残る確率を上げるための(気持ち的)要素は多いほうがいい。
駅につくと既にT氏とその部下らしき若者2人が待っていた。
軽く挨拶を交わす。ふむ、電話での印象通りのナイスガイっぽい男の子だ。なんでも九州から出てきたらしく、まだそこにかすかに残る博多弁が人柄の良さを際立たせている。
この子、どこかで見たな、、ふむ、思い出せない、誰だったか…。
あぁ、、あれだ…
そうそう、この優しそうな感じはまさに、、、
彼だ!
スターリング・ノース
(声:内海 敏彦)動物が大好きな11歳の少年。勉強もできる優等生だが、正義感が強く、ケンカにも立ち向かう勇気をもっている。
引用:あらいぐまラスカル公式サイト
ちびっこたちが一週間の学校通い&宿題疲れを癒やすべく座してその時を待つ、毎週日曜日19:30からフジテレビ系列で放送していた番組「世界名作劇場」。
そこで放送されていたあの伝説のアニメ「あらいぐまラスカル」の飼い主、いやもとい、ラスカルの友達!
スターリング・ノースだ!
かなり似ていたためそのことをT氏に伝えたが、
「すいません、僕そのアニメ存じ上げないです。」
そりゃそうだろう。むしろキミは生まれてすらいない。なんせ僕が4歳の時にスタートしたアニメだからな。
ちなみにラスカルはただのアライグマだが、声優を務めていたのはなんとあの野沢雅子さんだ。
あの野沢さんがただひたすら「みゃー」とか「みゃ?」とかアフレコを入れているだけの動物声優初挑戦のアニメがラスカルなのだ。
今の若者ならドラゴンボールの悟空が野沢さんだと知っているくらいがギリだろう。もちろんラスカルも野沢さん効果で大ヒットだ。これは知らなかった人も多いはずだ。
豆だ。覚えておくといいだろう。
ちなみに僕はラスカルの主題歌もエンディングテーマもすべてソラで未だに歌えるし、歌うだけで泣きそうになる。
さて話を戻して駅徒歩5分という情報が正しいのかどうかを図るためにスマホの時間を確認してからすぐに物件へ向かう。
内見してみた結果分かった改造の余地とメリット
iPhoneの時計をガン見しながら駅から物件へ向かった結果、若干徒歩5分をオーバー。
賃貸の場合も含めて大体大家さんは駅徒歩時間を盛って記載していることが多いのでこれは想定の範囲内。
到着すると元付業者の女性担当者が既にいらっしゃっており軽くご挨拶。
早速空室内を拝見させてもらうことに。
その時に撮影した動画がこちら。
ほんと普通。いや普通以下。
動画では「ふ~っ」とか「んんん~」とか唸っているが、正直こういうほうが好きだ。
むしろこうでないとダメだ。きれいなアパートだったら高い。高すぎて買えない。
というより面白くもなんともない。
こういうほぼ「無価値」といえるくらいの状態から付加価値を付け加えて蘇らせるほうが断然面白いのだ。
で、スターリングと一緒に外観周りを内見した結果、ある「想定した通りの」メリットを発見した。
まずアパートの前には「ここからうちの敷地だ!」と主張する鉄製ポールが刺さっていた。
ていうかこのポール要らないじゃん。むしろ邪魔。なんでこんなポール立ててるのよ。
これ撤去したらスペースがもりもりできる。しかも車が駐車できるほどにね。
それらを撤去した後の画像がこちら。
さらにポールを撤去したことにより自動販売機まで設置可能なおまけ付きだ。
チャリンチャリンとか正直大したことはないが、なにより入居者さんにとって良い設備だ。しかも設置はタダ。
そして夜も電気が煌々とついていれば夜道でも安心。
これらのメリットを内見時に見出したことで、僕ほぼ買う気を確定させた。
ちなみに自販機からは毎月平均4,000~5,000円ほどの収益を上げてもらっている。快く対応してくれたサントリーさんに感謝だ。
スターリングに購入の意思を伝える
「うん、買いますよこれ」
内見からの帰り道、僕はすぐに購入の意思をスターリングに伝えた。
利回りはさほど高くない。立地も駅徒歩5分といえど決していいとは言えない。
けれども僕にはある程度の勝算があった。なにより手の加えよう加減が半端なく魅力だった。
スターリング「分かりました!では引き続き宜しくお願い致します!」
もちろんこのままの額で買うつもりはないし、指値も頑張って交渉してくれるとのこと、現状10%の利回り、最低でも12%まで到達する指値で購入するつもりだった。
指値交渉スタート
早速事務所に戻りエクセルで試算。
いくらなら購入に値すると判断できるか。もちろん安ければ安いに越したことはない。が、あまりにも高い指値をして断られては元も子もない。
戸建であれば狂ったような指値を臆することなく実行できるが、アパートでそれが通用するほど甘くはない。
また相手(売主)はほぼ転売目的、百戦錬磨、資金潤沢の不動産会社だ。
試算を終えてスターリングに温度感を確かめる意味でも電話をする。
僕「もしもし。この物件、3100万円なら買います」
僕は額にして550万円、約15%OFFの指値を伝えた。
これに対してスターリングは想定どおりの返答を返してきた。
スタ「えっ、流石にその金額では無理ですよ。」
僕「そうでしょうね。でも3100万円なら買う、それ以上はないです。」
スタ「いや難しいと思いますよ。行って3300万円が限界だと思います。というか融資は付くのですか?」
僕「うん、多分付くと思いますよ。」
そう、一番の問題は融資だ。3100万円もの大金を現金で買えるわけもなく、融資を実行しなければこんな話はあってないようなもの。
けれども僕には融資についても勝算があった。もちろん事前に銀行に「こんな物件を検討しています」と連絡済みなのは言うまでもない。
前情報として少し話すと、実はとある信用金庫を愛すべき友人から紹介してもらっており、この物件とは別で同じ松戸市で購入したいと思っている物件を持ち込んで融資内諾をいただいていたのだ。
しかしそれは3900万円に対して3200万円の指値をしており、結果通らずに流れたという経緯があった。
しかし融資の内諾をもらっていた僕としては、同じようなスペックで同じような価格帯のアパートであれば恐らく同様に融資を出してもらえるだろうと踏んでいた。
そしてこのことをスターリングに話してみた。以下に続く。
僕「事前に内諾もらっている同じような物件があるので今回も大丈夫だと思っています。」
するとスターリングの対応に少し変化が出た。
スタ「そうでしたか。それであれば僕としても交渉しやすいです。まずは交渉当ててみます!」
そう、売買仲介が一番気にしているのが「こいつ本当に融資付くのか?」だ。
この条件提示ができる投資家とできない投資家では雲泥の差をつけた対応をされるのが一般的と言っていいのだ。
新たなる刺客、現る?
スターリングの素晴らしい点は対応の早さだ。こちらの意思をどんどん先方に伝えて条件を引き出してくる。
不動産投資の初期段階で最も重要だと言っていいパートナー、それが仲介を行う不動産会社。
営業マンと関係性を作り、条件をすり合わせ、対応するに値する相手だと思ってもらえさえすれば、彼らは積極的に動いてくれる。
もちろん買い手として資産額や年収などを踏まえた「融資実行能力」が一番重要なのは言うまでもない。これが無ければ僕のような自営業者という一般的に属性が良いとはされない人を相手してくれない可能性は高いと言っていい。
そしてその行動が早いスターリングから一日開けずに連絡が来た。
スタ「先方と交渉してきまして一つ問題が出ました。実は一番手で買付を入れている方がいるとのことです。」
僕「ほうほう。その方は現金で買うんですか?」
スタ「いえ、これから融資打診をする段階です。この方がいることで希望の指値もやはり無理だという返答でした。」
ここだ、ココのやり取りだ。勝負どころきた。
ここは交渉するに当たりかなり、非常に、とっても重要な場面である確率がとても高い。
初心者ならすぐに「そうなのか」と思ってしまう場面だ(僕も初心者だ)。
不動産会社はこちら側が状況を正確に掴めないことをいいことに色々なことを言ってくる。つまり「なんとしてでも成約させたい」という心理が見え隠れするのだ。
一番手がいるなんて最初の段階では聞いていない。こちらが買付証明書を出した段階でも聞いていない。
つまりこの情報はブラフ(ハッタリ)の可能性が高いと僕は踏んだ。
ここは押してはだめな場面。一旦引くべきところだ。僕はおもむろにこう言い放った。
僕「なるほど。一番手がいるなら別にその方が買えばいいですね。」
勝負!!
スタ「もう少し指値を下げることはできませんでしょうか?」
はいきた、こんな程度のかわしで諦めるわけがないと踏んでこちらは引きの姿勢を取ったがやはり食い下がってきた。
つまりスターリングとしても「どうしても買わせたい」わけだ。
餌に食らいついたと言っていい。ここが一番の爆釣時だ。
僕「とりあえず、じゃあこうしましょう。僕は融資特約無しの買付に変更しますよ。」
スタ「それはかなり交渉しやすくなります。分かりました、では再度先方に話してみます。」
一番手の買付がいたとしても、お金を出すスピードが一番早い人が欲しいものを一番に獲得する。
不動産投資とは超資本主義の世界なのだ。
もちろんこの段階で銀行には融資打診していたが、内諾までには至っていない。
が、僕としては「融資特約なし」という最強の手札を使うことで(もしその「一番手買主候補」がいたとすれば)一番手を土俵から引きずり下ろし、さらに指値交渉の強力な武器として使うため、ある意味での賭けに出た形だ。
危ない、危なすぎる賭けだ。デンジャラスストラテジーだ。
だがしかし、こちらとてこの戦いに負けるわけにはいかないのだ。
指値交渉の行方
融資特約なしの条件付きで買付を改めて出し、そこから数日が経過した頃、スターリングから連絡がきた。
スタ「すいません、先方としては3100万円ではなく、3200万円でなら売ってもいいと返事が来ています。」
徐々に値段が下がってきた。ぶっちゃけ自分としても最悪3200万円なら手を打ってもいいと考えていた。
だがここで引くわけには行かない。交渉はかなり煮詰まってきていると言っていいだろう。
先方としては今年度中に売りたい、しかし少しでも利益を出して売り抜けたい、この思惑が交錯している中で期限は迫ってきている。あと一歩と言ったところか。
僕「3100万円じゃないと買わないとお伝えしましたでしょ。無理ですね。」
スタ「正直3300万円まで行けば僕はそれでも十分だと思っていました。それが3200万円まで来た事自体がかなり奇跡に近い数字ですよ?」
僕「なるほど、頑張っていただいたことには感謝しています。けど最初に言ったとおり、3100万円じゃないと買えないんですよ。」
スタ「なんとか落とし所はないものでしょうか。もう先方は売ると言ってきてるんです。」
僕「うーん。。(考えるフリ)」
僕「分かりました、では3150万円で手を打ちましょう。これ以上の折衷案は今後一切受け付けませんし、これ以上じゃないと無理と言うならすっぱり手を引きます。」
受話器(スマホ)の向こうでしばらくの沈黙が流れた。
そしてスターリングはこう告げた。
スタ「分かりました!ではこの条件で最終交渉してまいります!」
僕「はい、宜しくお願いしますね。多分通ると思いますよ。頼りにしていますね。」
ー翌日。
スタっち「あうんさん!3150万円で指値が通りました!先方が売っても良いと言っています!!」
僕「(キタッ←内心ガッツポーズしながら)ほらね、言ったとおりでしょ、通るんですよ。(平常心を装いながら)」
スタっち「いや~すごいですね。ここまでの指値はなかなかないです。」
僕「はい、よく頑張ってくれましたね、実はもう内諾も降りたって先程銀行から連絡が来てますよ。」
そう、銀行の審査もわずか1週間弱というスピードで内諾承認を融資担当者さんがゲットしてくれていたのだ。
スタっち「本当ですか!分かりました、では先方にもそのようにお伝えします!引き続き宜しくお願い致します!」
まだ本審査は残っていたが、十中八九大丈夫だろうとのこと、そして程なくして本審査通過の連絡があり、僕は初めてのアパート購入を経験することになる。
さあ、これから気合い入れて決済まで進めていかねばならない。決済が終わるまでは何が起こるかわからないのだから。
しかしあぶねー、俺あぶねー!融資特約なしとか危なすぎるーっ!
はーびっくりした!融資通ってよかったぜー!!いや~ほんとにギャンブラーじゃないんだから!
初めての金消(金銭消費貸借)契約
決済当日。僕は三度目の銀行訪問をするため車を走らせていた。
ここまで頑張っていただいた融資課長さんに手土産を購入し、心躍らせながらもまだ決済が無事に終わっていないことへの気持ちの引き締めを忘れないよう、冷静さを失わぬようハンドルをギュッと握った。
銀行に到着すると既に売主の業者は到着していた。
そして決済は淡々と進むなか、売主はなにやら怪訝な表情で一言も言葉を発せず黙り座している。
想定していた利益から大幅に下がったことへの不満か?などと相手を探っても致し方ないが、こういう場面でジャブを入れてしまうのが僕の悪い癖だ。
僕「いや~この度はご無理を言いまして申し訳ありません。随分社長に怒られたんじゃないですか?」
売主「・・・いえいえ。」
以上だ。会話終わり。
このあと売主とは最後まで会話を交わすことなくこの一言だけが互いに言葉を交えた瞬間だった。
まあいい。向こう様にだって向こうの事情があるし、こちらにもこちら側の事情があるのだ。
不動産売買は相対取引なのだ。
滞りなく決済を終え、先方も借り入れをしていた銀行への返済も確認できたようで無事に決済は終了。
これで晴れてアパートの大家さんになることができた。
さて、これからまた戦いが始まる。
まだ戸建のリフォームや客付けも残っているし、アパートの空室リフォームと募集も残っている。
時は12月25日。世間でいうところのクリスマスだ。
賃貸需要繁忙期まですぐ目の前に来ている。これからやることはたくさん残っているのだ。
ちなみに初めてこの物件の内見に行った日が11月26日。約1ヶ月という期間だが、実はその内見をした日は奇しくも次男が生まれた日。
朝方の4時過ぎに生まれて、愛おしい息子を存分に抱っこし、妻には何度も謝罪を入れた上で内見にきた物件。
はたから見ると鬼畜の所業に思えるかもしれない。お前なに子供が生まれた日にアパートの内見なんて行ってるのと。頭おかしいんじゃないのと。
しかし僕にとっては何かしらの、運命、めぐり合わせ?そんな言葉にできない何かを感じていた。
それを理解してくれた妻もすんなり同意してくれ、出産直後の身体で僕に「頑張ってね」と送り出してくれた。
そりゃお父さん、こんなん頑張るしかないけんね。
空室のリフォームビフォーアフター
さて、1月から本格的にリフォームを開始し、動画でもご紹介した状態だったなんの取り柄も冴えポイントもなかった空室の状態。
おさらいするとこんな感じだ。
アパートのリフォームは初めてのことだったが、プランを練り、これまで戸建でお世話になった職人さんを召喚し、こんな感じでリフォームを施した。
家賃はもとより約8,000円高く募集して1ヶ月半で入居者さんについていただけた。
また駐車場も新設し、そちらも借りていただくことで1室で約12,000円/月アップさせることができた。
ちなみに、リフォームが終わったあとにスターリングちゃんを呼び出し、「あなたが売った物件、どんだけ変わったか見に来て」と連絡、部屋を見せたところ、
スタっち「ええええ!!なんですかこれ!?こんなかっこいいいアパート見たことないですぅ。」
僕「そうでしょ?住みたい?」
スタっち「これは住みたいでしょう!家賃だってこんなにリーズナブルなら住みたいです!」
僕「いいよ住んで?」
スタっち「あ、はい、すぐにはちょっと…。」
実はこの後このリフォームが失敗だったと悟ったが、 初めてのアパート経営、失敗だと気がついただけでも儲けもの。
失敗がわかれば次からはその失敗を活かしてよりよい形に持っていけば良い。
リフォームの話をすると更に長くなるのでまたそれは別の記事にて。
こうして無事満室となり、その後一室空室が出たが、前回の失敗をカバーして同じ家賃で、リフォーム費も15万円下げて入居していただくことができた。
表面利回りも12%だったものが現在では13%にアップ、このまま空室を順調に家賃を上げて募集していけば14%、15%も狙える数値に行ける見込みだ。
自分で家賃を上げて利回りを上げていけることこそ大家として至高の極み。
不動産賃貸業をやっていてよかったと感じることができる要素の一つだ。
まとめ
末筆ながらこの記事の大きなテーマとしてお伝えしたかったことの一つに、
「今銀行融資が付かなくてもちゃんと手順を踏んでいけば認めてもらえる」
ということだ。
戸建を現金買いからスタートし、高利回りで客付けを行い、そしてその物件に担保価値があれば銀行だって判断を変えてくれる。
僕もこのアパートを購入するにあたって、戸建を1棟共同担保に入れている。
さらにここまでの実績も加味してくれて、今まで見向きもしてくれなかった銀行がしっかり融資を出してくれるのだ。
ぜひ諦めることなく果敢にチャレンジして欲しい。
あなたのご武運を祈りつつ、筆(キーボード)を置く。
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